「もの忘れ外来」受診を嫌がる家族をスムーズに誘う4つのヒント

みなさん、こんにちは!認知症認定看護師のヒッコリーです。

「家族のもの忘れが最近気になって、みんなが困っている。一度専門医に診てもらいたい」

そう思って病院へ誘ってみたものの、「俺はボケてない!」「私を病院なんてところに連れて行く気か!」と頑なに拒否されて、頭を抱えている家族にこれまで多く出会ってきました。

実は、認知症の初期受診において「認知症の可能性があるから病院にいこう」とストレートに病気の可能性を伝えると、かえって逆効果になる場合が多いのはご存じでしょうか?

ご本人にとって、「もの忘れの検査に行く」と言われることは、これまでの自分の人生やプライドを否定されるような、とても怖くて受け入れがたいものなのです。

そこで今回は、本人のプライドを傷つけずに、お互い笑顔で受診へ向かうための「優しい誘い方のヒント」と、事前にできる大切な準備についてご紹介します!

① 魔法の言葉『脳ドック』

「もの忘れ外来」や「認知症の検査」という言葉は使わず、あえて前向きで健康診断のような言葉に置き換える方法です。

  • 具体的な誘い方: 「最近は高齢者になると、定期的に人間ドックのように『脳ドック』や『頭の健康チェック』を受けるのが流行っているみたいだよ。これからも元気に過ごせるように、一度専門の先生に診てもらおうか?」
  • 看護師からのワンポイント: 私がいた看護の実習現場や医療現場でも、認知機能検査のことをご本人には「脳ドックですから!」「頭の健康チェックですよ」と説明して対応していた場面を見ました。嘘をつくのは良くありませんが、こう伝えることで、ご本人もプライドを保ったまま「それなら受けてみようか」と安心して検査に臨むことができます

② 相談員に関係性を築いてから説明してもらう

家族が誘っても受診が難しい場合は、地域包括支援センターの相談員さんに依頼すると受診の手続きがスムーズになります。

しかし、全く見知らぬ人にいきなり「今から病院に行きましょう!」と誘われても拒否されるケースが多いです。

そのため、相談員に本人にとってなじみのある関係性になってから受診の説明をしてもらうのが良いでしょう。

  • 具体的な誘い方: 相談員さんに初めの数回は世間話などの会話で、楽しんでもらい何となく安心できる関係になってもらってから「物忘れの病気は治ることがあるので、なるべく早く専門家に見てもらいましょう」と受診を推奨もらいます。覚悟を決めて受診をしてくれた患者さんには「お忙しい中、よく受診を決断してくださいましたね」と労ってもらいましょう。
  • 看護師からのワンポイント: 認知症が進行すると、本人も「以前より上手くいかない」と不安に感じます。本人を「問題を起こす困った人」と見るのではなく「困りごとをどのようなお手伝いができるか」と言う姿勢で話を聞きましょう。

③ かかりつけ医からの「プロの指示」にする

家族が何を言っても怒ってしまう場合でも、日頃から信頼している「お医者さん」の言葉なら素直に受け入れられることがよくあります。

  • 具体的な誘い方: 普段から通っているかかりつけの先生に事前に相談しておき、病院で「頭の健康チェック」をしてもらうと言ってもらう提案してもらいます。その後「いつもの先生から、ちょっと頭の血流の定期検査も受けておくと安心だからって、紹介状を書いてもらったよ。先生が言うなら行ってみようか」と前向きな声掛けをしてみましょう。
  • 看護師からのワンポイント: 家族の言葉には反発しても、「プロの医師からの指示」であれば、すんなり納得される方はとても多いです。ぜひ、かかりつけの先生に【もの忘れ外来への紹介状】を書いてもらえないか、事前にこっそり相談してみてください。 

④受診前に「こっそり」様子を伝えるメモの準備

病院へ行く目処が立ったら、ご家族にぜひやっていただきたい大切な準備があります。

それは、「本人の日常生活での困りごとを、箇条書きにしたメモ」を準備し、こっそりスタッフや先生に渡すことです。

  • なぜメモが必要なの? 家族が診察室で「最近何度も同じことを聞いて、お財布を盗られたって怒るんです!」と本人の前で話してしまうと、本人は深く傷つき、その場で怒り出し、二度と病院に行くことはなくなります。事前にメモを書いて医師や相談員に本人の困りごとを共有して、尊厳を守りながら関わる必要があります。
  • メモに書くこと: 「いつ頃から」「どんなもの忘れがあるか(同じ話を繰り返す、買い物の計算ができないなど)」「日常生活の困りごと(怒りっぽくなった、お風呂を嫌がるなど)」を簡単にメモ書きをして、事前に相談員や医師に渡しておきましょう医師は本人のプライドを傷つけないよう、上手に話を合わせて診察してくれます。

⑤まとめ

認知症の疑いのある本人は、日頃から「何かがおかしい」と言う不安や、周囲に怒られたりすると「自分はもうだめなのか。悲しい。」と悲壮感や疎外感を感じながら過ごしています

本人の不安や寂しさと言った感情を理解して優しく受け止め、受診する病院が「安心できる場所」になるように配慮しながら声掛けをしていきましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。他にも、現場の視点から生まれたケアの知恵をたくさん用意しています。あなたの毎日に寄り添うヒントが、きっと見つかるはずです。よかったらご覧になってください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です