こんにちは、認知症看護認定看護師のヒッコリーです!
今回は、高齢のご家族が今も元気に運転されている方や、これから「75歳の免許更新」を迎えるご家族がいる方に、ぜひ知っておいていただきたい最新の免許更新制度についてお話しします。
「高齢者の免許更新って、最近いろいろ変わったって聞くけれど…」
「認知機能検査って落ちたらどうなるの?どんな試験があるの?」
そんな不安や疑問をお持ちの皆さんのために、最新情報やもしもの時の流れについて分かりやすく解説していきます!
目次
1. 75歳からの免許更新は「2つの検査」がポイント

現在の制度では、75歳以上のドライバーが免許を更新する際、年齢や過去の違反歴に応じて、以下の2つの検査を受ける仕組みになっています。まずはその違いを表でチェックしてみましょう。
| 検査の種類 | 対象となる人 | 検査の内容 | 合格・判定の基準 |
| ① 運転技能検査 (実車試験) | 75歳以上で、過去3年間に 特定の違反歴(信号無視や速度超過など)がある方 | 実際に教習所などのコースで車を運転し、一時停止や段差乗り上げなどを行う | 100点満点からの減点方式 ・第一種免許:70点以上で合格 |
| ② 認知機能検査 | 75歳以上の全員 (違反の有無は関係ありません) | パソコンや用紙を使い、記憶力や判断力を測定する簡易検査 | 算出された総合点が ・36点未満:「認知症のおそれあり」 |
注)過去3年間に違反歴がある対象者の方は、①の運転技能検査(実車)に合格しないと、②の認知機能検査に進むことができません。
💡 認知機能検査って具体的に何をするの?

主に以下の2つの項目を測定します。
- 手がかり再生:16種類のイラストを覚え、少し時間が経ってからヒントなし・ありで思い出す検査です。
- 時間の見当識:「年、月日、曜日、時間」を正しく答える検査です(※うっかり過去の元号などで計算を間違えないよう、落ち着いて受けるのがコツです)。

手数料を払えば何度でも受験でき、一度でも合格すれば「認知症のおそれが無い者」として免許停止の命令の対象にならなくなります。また、試験問題は事前に公開されています。適切とは言えませんが事前に本人に勉強してもらっている家族の方もいらっしゃいます。
2. もし「認知症のおそれあり」と判定されたら?

認知機能検査で36点未満(認知症のおそれあり)と判定されても、その場ですぐに免許が取り消されるわけではありません。
本当に運転を続けて大丈夫かを確かめるために、医師による医学的な診断を受けることが法律で義務づけられています(公安委員会からの診断書提出命令など)。
医師の診断結果によって、その後のルートは以下のように分かれます。
| 医師の診断結果 | 免許はどうなる? | 更新後のルール・条件 |
| 認知症ではない | 更新できます | 2時間の高齢者講習などを受けて通常通り更新 |
| 境界状態 (軽度認知障害:MCIなど) | 更新できます | 更新は認められますが、その後は半年ごとに医師の診断書提出が義務になります |
| 認知症である | 取り消し または 停止になります | 安全な運転が難しいため、道路交通法に基づき運転免許は取り消し等の対応 |
3. 知っておきたい!お医者さんからの「届出制度」

免許更新のタイミングでなくても、重大な事故を未然に防ぐための大切な仕組みがあります。
医師は、診察した患者さんが「運転に支障が出るレベルの認知症」であると診断した場合、本人の同意がなくても公安委員会にその事実を任意で届け出ることができると法律(道路交通法第101条の6)で定められています。
ご本人が「まだ運転できる!絶対にやめない!」と言い張って周囲の言葉に耳を傾けてくれないとき、このように医療の専門職の視点から安全を守るためのアプローチをしてもらえる窓口があるのは、家族にとっても一つの安心材料になります。
4. 認知症のタイプによって違う「事故のリスク」

実は、認知症の「タイプ(原因となる病気)」によって、交通事故を起こしてしまう割合には大きな違いがあることが専門のデータでも分かっています。
| 認知症のタイプ | 交通事故を起こした割合 | 運転への影響や特徴 |
| 前頭側頭型認知症 (行動異常型) | 63.6% | 理性的なコントロールや注意力の維持が難しく、信号無視や速度超過、追突などを起こしやすい |
| アルツハイマー型認知症 | 39.0% | 道に迷う(迷子運転)、とっさの判断が遅れるなどの影響が出やすい |
| 血管性認知症 | 20.0% | 脳梗塞などの場所に起因し、運動麻痺や注意力の低下が運転に影響する |
特に前頭側頭型認知症は事故の割合が最も高く、病気の特性が運転行動に直結しやすいことが報告されています。ご家族の病気の特性を知ることは、周囲が「そろそろ運転を止めようか」と声をかけるタイミングを計る上でとても大切なポイントになります。
5. 「運転時認知障害」のサインを見逃さないで

「まだ75歳になっていないから検査はないし安心」と思わずに、日常生活の中で以下のような「運転時認知障害」の初期サインがないか、ときどき確認してみてください。
- 車のキーや免許証をよく探し回っている
- 慣れているはずの道なのに、曲がる場所を間違える
- カーナビやカーステレオの操作が急にできなくなった
- スーパーの駐車場で、自分の車をどこに停めたか分からなくなる
- アクセルとブレーキを踏み間違えそうになったり、ウインカーを出し忘れたりする
- 右折するとき、対向車のスピードや距離感がうまくつかめなくなっている
これらは「年齢のせいかな?」で済ませてしまいがちですが、事故を起こす前の大事な予兆になっています。
もし気になる兆候がいくつか重なる場合は、専門医への受診や家族みんなで「免許の自主返納」について話し合うきっかけにしてみてくださいね。
免許を自主返納すると、身分証明書になる「運転経歴証明書」が発行され、多くの自治体でタクシーやバスの割引特典などを受けられるようになります。
6.最後に
車は生活に欠かせない便利な道具であり、これまでの移動の自由を支えてくれた大切な相棒です。だからこそ、それを手放すのは本人にとって身を切られるように寂しく、勇気がいることです。
家族として「危ないからダメ!」と頭ごなしに否定するのではなく、「これまでずっと安全に運転してくれてありがとう。これからは私たちがサポートするね」という感謝の気持ちをベースに、公共交通機関の割引が受けられるメリットを理解してもらった上で、お互いにとって良い選択を一緒に見つけていけたら素敵ですね。
もし、高齢者の免許更新に関して不安なことがあれば、一人で抱え込まずに地域包括支援センターや専門の医療機関にいつでも相談してくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。他にも、現場の視点から生まれたケアの知恵をたくさん用意しています。あなたの毎日に寄り添うヒントが、きっと見つかるはずです。
